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ファースト・ネーションズ (先住民族インディアン)

遠い太古の昔に遡る歴史をもつインディアンは、カナダ社会で重要かつ独特の地位を占めている。1492年にアメリカ大陸にやってきたクリストファー・コロンブスが、そこをインドと思い違いし、住民を"インディアン"と呼んだのが、名前の由来である。今日、インディアンは、かつては自らの政府組織をもった自主独立の民族だったことを、他のカナダ国民に思い起させている。事実、いくつかの伝統的な統治形態はいまも存在する。カナダ・インディアン、彼らの自ら名乗る呼び名でいえばファースト・ネーションは、文化、社会、政治、経済、全ての面で復興を目指して、いま転換期にある。

カナダで現在、インディアンと登録されているのは約54万人、カナダ国民のほぼ1.8%である。"登録"すると、連邦法によって一定の権利や特典、社会保障などを受 けることのできるインディアンとして認定される。登録したインディアンのうち約55%が、彼らのために確保された「保留地」と呼ばれる特定地域に住んでいる。カナダにはこうした保留地が2,200か所以上あり、そこにざっと605のファースト・ネーション(部族集団)が居住している。保留地の大半は地方にあり、辺鄙な場所も多く、中には全く人の住んでいない保留地もある。


起源

大半の人類学者の認めるところによると、北米インディアンは、今から3万~1万年前にシベリアからベーリング海を渡ってやってきた。ヨーロッパの探検隊や開拓者が渡来したとき、カナダにはすでにさまざまな部族の先住民がいて、その地域の環境によって移動生活または定住生活を営み、狩猟や漁業、農業などに従事し、戦闘的な部族もあれば、平和的なものもあった。彼らは周囲の土地や生き物と深い霊的関係を共有した。これは今でも変わらない。それぞれのファースト・ネーションの文化は、独特の霊的な信仰や儀式をもち、部族の長老たちによって口伝で代々これを伝えてきた。


初期のインディアン統治

英国が北米大陸の大半を統治するようになったのは、1760年のことである。その3年後には「国王宣言」を公布して、インディアンの保留地を設け、土地問題でインディアンと交渉できるのは政府だけだとした。これによってその後、一連の土地譲渡条約が次々と結ばれ、インディアンは一時払いの代金やその他の恩典を貰う代わりに一定の土地に対する権利を放棄することになった。そしてヨーロッパや米国からカナダへやってくる入植者たちが入ることのできない、ファースト・ネーションのためだけの土地、つまり保留地が設けられたのである。たくさんの条約が結ばれ、その下で彼らの狩猟や漁業の権利もまた保護された。

1830年から現在まで、今のカナダ東部に設けられた保留地に、政府の保護の下に移住が開始され、先住民たちはこうして国の監督下に入ったのだった。


連邦結成後

連邦結成後、新生カナダ政府は、「インディアンとその保留地」に関する法的権限をもつことになった。1876年、最初のインディアン法が議会を通過し、保留地のインディアンを管理する大きな権限が政府に委ねられた。同法はインディアンとして認められるための条件を規定し、保留地の外への移住を規制し、子供に教育を受けさせる期間と場所を限定し、インディアンの参政権を認めなかった。また保留地をもたないインディアン部族の管理権限も連邦政府に与えた。

1876年のインディアン法は、その後、こうした不正義を除去する修正をいくつか加えられたが、多くの条項は今でもそのまま有効である。例えば、現在でも連邦政府が選挙を監督し、ファースト・ネーションの法律の許認可権を握り、ファースト・ネーションとインディアン個人に属する資金や資産を管理し、インディアンの土地を管理する。

その後、インディアンを西欧社会に同化させる努力がさまざまに行なわれるようになった。いわゆる"公民権賦与(enFrancaisement)"もそのひとつである。連邦結成に先立って、1857年の「漸進文明化法」には、インディアンが部族社会を離れて公民権を要求する場合は資産や給付金を与えるという条項が含まれていた。すなわち、公民権賦与とはライフスタイルや習慣を"文明市民"のそれに変えた褒美だという考えに立つものであった。

1859年に「文明・公民権法」が成立したが、公民権を得る代わりに自分たちの地位と権利を放棄するインディアンはほとんどいなかった。連邦結成後に成立した1869年公民権法は、連邦政府が後見人という状態からインディアンを開放しようとするものであった。

1940年代末から50年代までは、インディアンの乳幼児死亡率が高く、平均寿命も短かった。寄宿制学校など教育上の試みがいくつかなされたが、いずれもインディアンの若者を失望させるものだった。保留地の住宅事情は劣悪で、飲酒や失業とからんだ問題が、インディアンの間に蔓延していた。

しかし1960年代半ばになると、社会的・経済的状況に変化の兆候が出てくる。保健医療サービスが改善され、子供たちが高等教育を受ける道も大きく開かれた。60年代末にはインディアンは、完全な政治的・法的権利を手に入れた。

今日、先住民の人々は、ほとんどの分野の職業についているが、重大な経済的・社会的問題は依然として残っている。失業率は他の国民と比べて高く、多くの保留地では住宅もまだまだ不十分である。ファースト・ネーションは、連邦政府の支援を受けながら、こうした問題の解決に取り組んでいる。


土地請求権問題

ここ20年の間に、先住民の土地要求活動が急増した。多くの請求は解決したが、継続中のものもある。土地請求権問題には2つのタイプがある。

  • インディアン条約などに規定されていない土地について、先祖代々住みついて使ってきたという事実に基づいて所有権を主張する包括的な土地要求。
  • インディアン条約が守られていない、あるいはインディアンの土地その他の財産管理について行政に不手際があったという個別の要求。

どちらの訴えも、インディアンのコミュニティに土地と経済基盤を確保する機会であり、彼らが自治政府をもっていなくても、何らかの意味において自立を実現するのに重要である。


政治的発展

先住民に固有な自治権を認めるように憲法を改訂することが、カナダのファースト・ネーションの重要な目標となっている。ファースト・ネーションのうちいくつかは、土地や土地利用、資源、健康、社会サービス、教育、地方税などに対する管理権を認める"コミュニティ自治取り決め"を既にもっている。コミュニティベースの自治取り決めを追求するかどうかは、個々のファースト・ネーションが決める。そして取り決めは各コミュニティに特有な環境条件に合うように調整される。


経済

先住民の起業家は、かつてないほど国民経済に参加しており、各政府や民間部門の支援を得て、あらゆる産業部門で活躍している。

今日、ざっと1万の企業が、先住民によって所有、運営されている。資源開発プロジェクトは、不動産開発や林産、観光、鉱業など多くの部門に及んでいる。


教育と仕事

今日では大半のファースト・ネーションがコミュニティ内部の教育プログラムを自分たちで管理しているため(363の保留地内学校のうち329)、就学率は向上し、脱落者の割合も減った。インディアンとイヌイットの初等・中等学校の生徒のうち、63%以上が、自分たちの言語で何らかの授業を受けている。

1992/93年には、約2万2,000人の先住民学生(大学・カレッジ、専門学校など中等後教育)が、商業、経営管理、エンジニアリング、応用科学、技術、貿易といったコースで学んでいる。今日的な職業ニーズに合った中等後教育や職業訓練教育を受ける先住民学生の数は、増えつつある。カナダ政府も彼らの雇用見通しを改善し、連邦の公共サービスや民間企業で先住民の昇進を奨励するプログラムを実施している。


社会的条件

先住民の人々の生活条件は、いろいろな点で一般のカナダ人より遅れている。しかしここ四半世紀の間、ファースト・ネーション社会の生活条件を改善する努力がなされてきた。今日、大半の社会福祉プログラムの管轄権は、インディアン組織に移管されている。1960年代に多数のインディアンは、電気も水道もなく、下水道施設も整備されていないひどい住環境にあった。今日では、上水道も下水道も完備した家に住む人が8割以上を占める。電気も、事実上すべてのコミュニティに通じている。現在の住宅戸数の30%以上はここ5年以内に建てられたもので、同じく35%は改修済みだ。

住宅環境が改善されつつあるため、カナダのファースト・ネーションの健康は著しく改善された。良質の医療をより利用しやすくなったこと、そしてコミュニティが健康教育・保健サービスへの関与を強めたことが、住民の健康向上にプラスの要因となっている。カナダ政府もまた、先住民グループや州や準州と一緒になって、現行のシステムが先住民の文化と伝統によりよく応えるように活動している。先住民のコミュニティもまた、自分たちの文化的価値とニーズに合った地域警察を育てることが期待されている。


環境

先住民たちは、環境の保護改善に大きく貢献している。ファースト・ネーションは、環境問題の扱い方について彼ら独自の計画を開発しつつあり、同時に、政府プログラムのパートナーとして、責任ある環境管理と保護を実現するための政策・具体策を作成している。


文化

先住民の文化は今日、コミュニティの誇りと独立独歩のカギとして、再評価されている。彼らの言語、文化、歴史の教科が学校にも取り入れられた。先住民の文化や言語、伝統的な信仰や慣習を保存促進するセンターが、国中のあちこちにあり、社会問題と闘う武器としてますます使われるようになってきた。年配の人たちは再び、重要な役割を演じるようになり、世代間のギャップを埋めつつある。

多数の先住民新聞によって、あるいは先住民のラジオやテレビ・ネットワークも発達して、彼ら自身の言語で情報を送り、番組を放送している。先住民アーティストの作品は、カナダ国内および海外の芸術界主流にますます受け入れられるようになってきた。


今後の問題

先住民の人々は、自分たちの未来を自らの手に取り戻しつつある。彼らは次第に他のカナダ人と同じ機会を得ることが出来るようになってきた。変化の勢いは、明確で力強い。今後はもっと多くの改善向上が期待できると思われる。

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更新日:
2015-05-19