カナダ政府
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Government of Canada

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カナダのバイオ産業

カナダのバイオテクノロジー・セクター

カナダにおけるバイオテクノロジー・セクターは売上、設立企業数、製品の種類のいずれにおいても、この10年間に急速な成長を遂げています。また、この重要な新分野において、カナダは常に世界のトップ・ファイブに挙げられています。カナダがバイオテクノロジー分野において国際的に秀でている理由は、最先端の研究が行われ、クラスター形成と相互連携を重視した起業家的アプローチが採用され、さらには十分な融資やベンチャーキャピタルを供給できる基盤を整えているからです。このようなカナダのバイオテクノロジー・セクターの成功は、経済や技術革新政策の面で発揮されたカナダ政府の力強いリーダーシップによるところが大です。カナダ政府は研究の基盤を最大限の水準まで発展させ、大学院や博士課程を終了した人材を多数かかえ、国際的な研究者を教育機関、公的・民間機関に招き、起業家を育成してきました。さらには「カナダ・バイオテクノロジー戦略」に基づいた斬新なビジョンを打ち出すなど、バイオテクノロジー分野にさらに重点を置いた政策に取り組んでいます。

研究開発

カナダがこの分野で着実な成長を遂げてきた主な理由は、科学的な専門知識の基盤が確立していることと研究開発への継続的な投資が行なわれてきたためです。カナダのバイオテクノロジー企業は2001年に研究開発に13億ドル投資しましたが、これを1999年の支出8.27億ドルと比較すると60%以上も増加しており、研究開発に対する意欲を示しています。

またカナダは研究開発に従事する就業者数、国外特許の申請数、および企業の研究開発費のいずれにおいても、その増加率ではG7諸国の中でトップです。

カナダはゲノミクス、プロテオミクス、バイオインフォマティクス、免疫療法、たんぱく質工学、新規の薬物送達システムなどの領域で国際的な評価を受けた研究基盤を抱えており、生物薬剤学における研究開発力はその延長線上で発展してきました。カナダの16の大学は、100以上の教育研究病院や研究機関が参加しているネットワークと連携しています。

バイオテクノロジー製品および商品開発

国内の大学や公的研究機関等、多くの研究組織で行われてきた全体的な研究成果により、カナダはゲノミクス、プロテオミクス、幹細胞研究等の「ホット・テクノロジー」と称される重要分野に関連した製品の開発・商品化の世界的リーダーになりました。

カナダのバイオテクノロジー企業は常に自社の製品・製法の多様化を推し進め、複数のバイオテクノロジー分野に取り組んでいます。またカナダの大学や研究病院は商業化につながる大きな成果を上げています。急速に拡大しつつあるカナダのバイオテクノロジー産業において2001年には10社中4社がスピンオフ企業でした。こうしたスピンオフ企業はバイオテクノロジー関連の売上げでは17%、また就業者数では30%を占めています。

企業の成長および分野別の割合

 カナダのバイオテクノロジー企業(分野別)

カナダのバイオテクノロジー企業の数は1999年の358社から2001年には375社に増加しています。2001年の年間売上高は36億カナダドルに上り、1997年の年間売上高と比較すると339%の成長になっています。

カナダでは公的なバイオテクノロジー企業が94社あり、そのほとんどがヒトの治療学や診断学の分野で活動しています。また、カナダのバイオテクノロジー企業375社の約半数(47%)はヒトの治療学や診断学以外の分野でも多くの活動を行なっています。例えば主にサスカチュワン州やオンタリオ州の企業が取り組んでいる農業バイオや、ブリティッシュ・コロンビア州と大西洋沿岸の州で現在着手されている水生バイオ科学や海洋バイオ科学の分野などです。

 カナダのバイオテクノロジー企業(地域分布)

カナダには世界的に有名な優れたバイオテクノロジーのクラスターが数多く存在し、大学、研究機関、および政府の研究所の周辺に高度な専門知識を軸にした成功企業が生まれています。

  • ハリファックス (ノバ・スコシア州)
    ノバ・スコシア州のライフサイエンス・コミュニティは全国平均の2倍の速さで成長しています。ハリファックスにはこうした医療や海洋バイオサイエンスにおける研究や商業化に携わる大多数の企業が拠点を構えています。また大学や国立研究機関がクラスターの発展に重要な役割を果たしています。
  • モントリオール (ケベック州)
    主に医薬産業に関連している州のバイオテクノロジー企業の約70%がモントリオールに集まっています。また世界的な製薬企業のほとんどがここに拠点を構えています。こうした大企業は研究開発において重要な役割を果たしていますが、製薬分野で最も画期的な発明の中には小規模の製薬会社から生まれたものもあります。
  • トロント (オンタリオ州)
    カナダのバイオテクノロジー産業の40%がここに集積しています。医療研究における成果はトロントがボストンについで第2位です。大トロント地域はバイオインフォマティクス、ゲノミクス、癌遺伝学、神経生物学、およびプロテオミクスの分野において大きな力を発揮しています。
  • サスカトゥーン (サスカチュワン州)
    農業バイオの分野における世界的な中心地のひとつであるサスカトゥーンは「イノベーション・プレース」の所在地です。100社以上の企業や組織が拠点を置く「イノベーション・プレース」は世界で最も急速に成長し、成功している大学関連の研究パークのひとつです。
  • バンクーバー (ブリティッシュ・コロンビア州)
    州のバイオテクノロジー・セクターのハブであり、特に医療およびゲノミクスの分野に強い地域です。地元企業の活躍によってブリティッシュ・コロンビア州はバイオテクノロジーの分野で世界的なリーダーになりました。事実、ブリティッシュ・コロンビア州はバイオテクノロジー・コミュニティとして北米で16番目の規模であるとされています。

連邦政府のバイオテクノロジー育成政策

カナダのバイオテクノロジー・セクターの成功は、経済や技術革新政策の面で発揮されたカナダ政府の力強いリーダーシップによるところが大です。カナダ政府は研究の基盤を最大限の水準まで発展させ、大学院や博士課程を終了した人材を多数かかえ、国際的な研究者を教育機関、公的・民間機関に招き、起業家を育成してきました。さらには「カナダ・バイオテクノロジー戦略」に基づいた斬新なビジョンを打ち出すなど、バイオテクノロジー分野にさらに重点を置いた政策に取り組んでいます。2001年度の連邦政府のバイオテクノロジー関連の支出は5億1300万ドルであり、これは連邦政府の科学・テクノロジー(S&T)支出の7%に相当します。バイオテクノロジー関連の支出は2000年度と比較して29%増加しました。連邦政府のバイオテクノロジー関連支出のほとんど(96%)は研究開発に使われています。

「ゲノム・カナダ」は、ゲノミクスおよびプロテオミクス研究においてカナダを世界的なリーダーとする目的で1999年に設立された非営利法人です。「ゲノム・カナダ」はカナダ政府から3億7500万ドルの補助金を受けており、この補助金が交付されたことによって、州政府等の地方自治体、民間、諸機関や海外などからも資金が集まっています。2つの国際的なピア・レビューによるコンペティションでは、農業、環境、漁業、林業、および医療などの主要分野や、ゲノミクスの社会的、法的、倫理的な側面にかかわる56のプロジェクトおよびプラットフォームに対して2億9150万ドルの資金提供が約束されました。「ゲノム・カナダ」によって5つの「ゲノム・センター」(アトランティック、ケベック、オンタリオ、プレーリー、およびブリティッシュ・コロンビア)が設置され、これらのプロジェクトを管理しています。最近付与された助成金7500万ドルは応用医療ゲノミクス分野の大規模プロジェクト、およびカナダの医療関係者がゲノム分野のS&Tプラットフォームに容易にアクセスできるようにするために使われる予定です。

2003年に連邦政府が「カナダ・イノベーション基金」(CFI)に対する補助金を5億ドル増やした結果、CFIに対する連邦政府の補助金の総額は36.5億ドルになりました。1997年にカナダ政府が設立したCFIは、カナダの大学、研究病院、およびその他の非営利機関の能力を高め、世界レベルの研究・技術開発を行なえるようにすることを目的とした独立法人です。CFIによる投資は1998年8月からの累計で15.5億ドルを超え、その他の資金提供パートナーからの助成金と合算すると総額で39億ドル近くに上ります。

また「ネットワークス・オブ・センターズ・オブ・エクセレンス」(NCE)プログラムは既に14年の実績があります。1997年2月にカナダ政府はNCEを恒久的な制度としました。そしてその2年後にはプログラムの予算を3000万ドル増やし、年間7740万ドルとしました。これまでにNCEから97社のスピンオフ企業が誕生しています。2001年度にNCEは外部から8700万ドル以上の融資を受けており、そのうちの4400万ドル以上がNCEに参加している民間企業からの融資です。現在融資を受けている22のNCEのうち、カナダバクテリア性疾病ネットワーク、カナダ遺伝病ネットワーク、たんぱく質工学ネットワーク、医療情報の応用およびリンクネットワーク、カナダ関節炎ネットワーク、カナダ脳卒中ネットワーク、および幹細胞ネットワークの7つがバイオテクノロジー関連の活動を行なっています。

資金調達

バイオテクノロジー・セクターは高い成長性と投資利益が見込めるため、カナダのバイオテクノロジー産業に対する民間の投資意欲は旺盛です。2001年の資本市場は前年と比較すると若干縮小したものの、カナダのバイオテクノロジー企業は10億ドル近い資金を調達することができました。このうち3億6300万ドルはカナダのベンチャーキャピタルからの資金であり、小さい比率ながら(6%)米国からの資金もありました。エンジェル投資家は引続きバイオテクノロジー・セクターの資金調達先になっており、2001年の調達額の15%はエンジェル投資家からの資金です。バイオテクノロジー企業にとって3番目に重要な資金調達先は政府であり、1億2700万ドル(13%)が政府からの資金です。

カナダには数多くの最先端バイオテクノロジー企業が存在します。

  • NEXIA BIOTECHNOLOGIES INC.
    Nexia社はトランスジェニック動物の乳から遺伝子組換えたんぱく質を製造する技術の世界的リーダーであり、米軍、カナダ軍、およびNATO軍で予防薬として使用されるProtexia™(化学兵器に対して効果の高い生物性解毒剤)の開発をリードしています。
  • MDS PROTEOMICS
    プロテオミクスを利用した薬物送達システムの分野で世界的レベルのパイオニアであり、たんぱく質相互作用パスウェイ分析を行う最先端施設をトロントに保有しています。この会社の成功はカナダのもつ優れた研究開発環境によるものです。
  • QLT INC.
    加齢性黄斑変性症(AMD)による失明の進行を抑える有効な治療法を提供するQLT社のVisudyne™は最も成功した眼科薬です。
  • FUSOGENIX INC.
    近年ハリファックスに設立されたFusogenix社は、細胞内へ薬剤を送達する独自のプラットフォームを開発しました。これはワクチンの送達やがん治療などに利用できる極めて応用範囲の広い技術です。
  • SEMBIOSYS GENETIC INC.
    カルガリーを本拠地とする同社は、遺伝子組換えタンパク質の分離・製造に油料種子を使用する効率と費用効果の高い生産媒体(Stratosome™)を開発し、大きな注目を集めています。

カナダの投資環境

カナダの研究開発環境はバイオ医療関連の研究開発について見ると、米国、ヨーロッパ、日本などの他の先進国と比較して最も費用効率が高くなっています。カナダは国外特許の申請数、および企業の研究開発費のいずれにおいてもその増加率ではG7諸国の中でトップです。

またカナダにはその他にも様々な利点があります。まず製造拠点については他のG7諸国やオーストリアと比較して、カナダでは最も低いコストで製造施設を設置し、運営することが可能です。連邦税制では研究開発および機械設備関連の資本的支出等を含めた当該年度の研究開発費について120%~135%の控除(すなわち20~35%の税還付、状況に応じて全額キャッシュで還付される場合もある)が認められています。「科学研究および試験的開発(SR&ED)」プログラムでは、カナダにおいて先端技術を利用した新製品、改良品、または製法を開発した企業に税の優遇措置を供与しています。

競合する国々の中でカナダの労働者はトップクラスのスキルを備えています。「ゲノム・カナダ」、「ネットワークス・オブ・センターズ・オブ・エクセレンス」、および「国立ナノテクノロジー・インスティチュート」などの専門機関が設置され、バイオテクノロジーへの重点的な取り組みと資金の投入が可能となり、新規分野における最も優秀な研究者を世界中から集めています。

またベンチャーキャピタルグループが連携し、創業間もないバイオテクノロジー企業に対して資金を提供するダイナミックなベンチャーキャピタルネットワークが形成されています。2001年初期の投資レベルは、経済活動の鈍化により1999年レベルに低下した米国とは異なり、2000年実績を反映したレベルで推移しています。

まとめ

カナダはバイオテクノロジー産業の世界的リーダーです。このセクターのインフラストラクチャーへの投資を着実に増やすことによって、カナダ企業が国内外において常に重要な役割を果たせるようにカナダ政府が取り組んできたことも大きな要因になっています。すなわちカナダはバイオテクノロジー分野における機会提供の場であり、そこには研究者、科学者および民間企業に求められる知識、インフラストラクチャー、そして最も大切な点ですが、成功をはぐくむ支援環境が整っています。

(注)この冊子に記載されているカナダのバイオテクノロジー・セクターの産業情報は「カナダ統計局:バイオテクノロジーの利用および開発に関する調査(2001年)」から引用しています。

 

 

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更新日:
2010-02-25